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『もねちゃんのたからもの』(徳間書店)

作・絵 たかおゆうこ(徳間書店)

 

もねちゃんのたからものは、なめるたびに違うキャンディ、空まで飛べるなわとび、植物の気持ちがわかるメガネ、開けて見るたびにお金が増える貯金箱、そして最後は、、、。きつねの子とちびハムスターがかわいいよ!

 

          

 私は小さい頃、たからものをたくさんもっていました。願いがかなう石、魔法の小枝、丸いガラスの粒になった人魚の涙、雨を降らせる小瓶、天国からの紙飛行機。ガラクタのようなものに物語を重ねて、たからものにしていました。そして、お菓子の箱に入れて大切にしまっておきました。

あれから数十年。あんなに大切にしていたたからものは、今、どこをさがしてもありません。捨てた記憶もないのに。たぶんたからものはいつのまにか忘れられて、遊ばれなくなったおもちゃといっしょに、家人に処分されてしまったに違いありません。それでも、大切に思っていた気持ちと、たからものと共有した時間は、心に刻まれています。失ってしまったけれど、失ってないのです。

考えてみると、現在の私の究極のたからものは、人や思いや思い出で、どうやら「もの」ではないようです。でも、たからものの中身は変わっても、小さい頃につくったたからものをしまう心のスペースは、変わらずきちんと残っているように思います。

「もねちゃんのたからもの」は、たからものをたくさん持っている女の子のお話です。もねちゃんは、自分のたからものを、森からやってきたきつねの子に、ひとつひとつ見せてあげます。どのたからものも、世界に一つしかない、もねちゃんだけの秘密のたからものです。

たからものがあると、楽しくなります。がんばったりもできます。そして、大切に思う気持ちは幸せな気持ちとどこかでつながっています。身近なところで、たからものをたくさん見つけることができるもねちゃんは、幸せを見つける達人なのかもしれません。恐怖でさえ、想像力で制覇するもねちゃんは生きる達人なのかもしれません。

私は、小さな私を支えてくれた「たからもの」に、再び愛おしさを感じながら、この絵本をつくりました。子どもたちが、子ども時代にしか見つけられない特別なたからものを、たくさん見つけることができますように。(たからものの力 2010年「子どもの本」11月号に掲載)

 

 

 

絵本ナビさんのインタビュー