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挿絵 装画
『クリスマスのりんご』
アリソン・アトリー 他 文 上條由美子 編・訳 たかおゆうこ 絵(福音館書店)
クリスマスにまつわる外国のお話を集めた短編集です。
貧しい時計作りの男が、クリスマスに神さまにささげるために作り上げた見事な時計を、困っている子どものために売ってしまう表題作、「クリスマスのりんご」をはじめ、全九話が入っています。クリスマスによみたい絵本はたくさんあるけれど、お話会などでよんできかせるお話の本があったら、という声からこの本はうまれました。アトリー、エインズワース、ソーヤーなど、様々な書き手による、日本ではまだ知られていない心あたたまるお話の数々を、どうぞお楽しみください。
このお話の挿絵の依頼を受けたのはドイツに住んでいた頃でした。この9つのお話の挿絵には外国での経験を生かすことができました。ヨーロッパの青い夜、静かでしみじみとしたクリスマス。声高ではなくささやくように話す人々。そんな雰囲気が少しでも伝われば幸いです。
時代考証にとても時間がかかるうえに膨大な量の挿絵に何度も押しつぶされそうになりました。主人公が最初から最後まで同じだったらどんなに楽だったことでしょう。お話ごとに頭の中の風景を変えなければならないところがとても大変でした。でもどのお話も素敵だったことに救われました。
「砂糖ネズミ」は、いじらしくてしっかりもので大好きなキャラクターです。「クリスマスのりんご」は描けば描くほど「おじいさん」が好きになりました。そして「人形の家」の愛すべき人形達。どの人形も私の中で今でも生き生きと語りあっているのです。