YUKO TAKAO home website
what's new?
- 2024-09(1)
- 2024-07(2)
- 2024-06(1)
- 2024-04(1)
- 2024-01(3)
- 2023-12(1)
- 2023-08(1)
- 2023-07(1)
- 2023-05(1)
- 2023-03(1)
- 2022-09(1)
- 2022-06(1)
- 2022-03(1)
- 2022-01(1)
- 2021-10(1)
- 2021-09(3)
- 2021-08(1)
- 2021-07(1)
- 2021-06(1)
- 2021-03(1)
- 2021-01(2)
- 2020-10(2)
- 2020-09(2)
- 2020-07(4)
『うみのたからもの』(講談社)7月6日刊行!
幼い頃、夏休みに家族で海水浴にでかけました。
すると、早朝の浜辺に数え切れないほどたくさんの桜貝の貝殻が
打ち上げられていました。
朝日に照らされピンク色に輝く貝殻。
その美しさに感嘆し「人魚のつけ爪かもしれない」と思いました。
その当時アンデルセンの『人魚姫』というお話が大好きだったので、
そんなことを考えたのかもしれません。
それ以来、貝殻を見るたびに様々な空想がふくらむのです。
2019年、断崖絶壁が連なるイギリスの南海岸を旅した時に
不思議な模様の石を拾いました。
重く、貝の一部のようにも見える化石でした。
そのあたりはジュラ紀の地層が剥き出しで波や雨風の侵食によって
浜辺に化石が残されるのです。
その化石を手にのせ海を見ていると、2億年前の太古の生き物たち、
海竜やアンモナイトたちが鮮やかに目の前にあらわれ、
時空を超えて自分と繋がっているような不思議な感覚を覚えました。
浜辺に打ち上げられた貝殻や化石を手にした時の
この高揚感はどこからくるのでしょう。
私は4年かけて各地の浜辺を歩き考えました。
やがて絵を描きながら理解したのです。貝殻や化石は単なる冷たい死骸ではなく、
その生き物たちの燃えるような生命の息吹を感じさせるあかしだということを。
浜辺で、寄せては返す波の音に耳を傾けていると、
どうしても生命の起源の不思議さにたどり着きます。
この地球の豊かさは、脈々と繋がれてきた多様で様々な生命の輝きにあると感じるのです。どうかこの海がいつまでも美しく豊かでありますように。
浜辺に降り立ち貝殻を手にのせて、自由に想像と空想の翼を羽ばたかせて
みませんか。みなさんにこの絵本が届きますように!
長い時間をかけて試行錯誤を繰り返しながらようやく一冊の絵本となりました。
美しい装丁デザインは中嶋香織さんです。
先に刊行した『くるみのなかには』(講談社)とあわせて並べて頂けたら幸いです。