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『ピンクいろのうさぎ』(講談社)

2021 / 10 / 16  08:41
『ピンクいろのうさぎ』(講談社)

 

 小さい頃、36色の色鉛筆セットを買ってもらいとても嬉しかった記憶があります。ケースの中にずらっと並ぶ色鉛筆を虹の順番に並べたり同系色に並べたり、季節や気持ちのイメージで並べたり。色は隣り合う色によってまるで違う印象になるのが楽しくて。


 小学生になって図画工作で水彩絵の具を使うようになり、色は絵の具箱の中の色だけでなく、混ぜ合わせることにより無限にいろいろな色を作れることを知り、自由で豊かで幸せな気持ちになりました。


 20代の後半アメリカで暮らしました。その時そこで暮らす人々の人種や個性の多様性に出会い、子どもの頃に感じた色に対しての感動と同じような感銘を受けました。帰国し、目をこらしてみれば日本の人々も多様です。同じように見えますが、一人として同じ人はいません。

 

私がこうして感じたものを絵本にしたらどうなるのだろうか。ずっと考え続けて ようやく『ピンクいろのうさぎ』という物語となりました。白いうさぎたちの元で生まれたピンクいろのぴょん。「どうして ぼくはピンクいろなんだろう?」ぴょんは、旅を続けて いろいろないろのうさぎたちと出逢い自分を再発見します。それは多様性という言葉をこえた先の世界なのかもしれません。なぜなら たとえ、その後、白いうさぎたちのもとに帰ることができたとしても ぴょんならきっとやっていけると私は考えているからです。

 

さて、子どもたちはどう読むでしょう。みなさんはどう考えますか?

ピンクいろのうさぎ、ぴょんが見つけていく世界を一緒に楽しんで考えて頂けたら幸いです。