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『ケロケロきょうだい』(こどものとも年中版2021年4月号)

2021 / 03 / 18  11:51
『ケロケロきょうだい』(こどものとも年中版2021年4月号)

『ケロケロきょうだい』参上! 

 

 子どものころ、よく野原で遊びました。走りまわっていると、草むらからいつもあらわれたのがアマガエル。仲良くなりたくて捕まえようとすると、ぴょん、ぴょん、ぴょん、ととびはねて逃げてしまいます。運よく手のひらにおさめて、つぶさないように、指のすきまから中を覗くと、カエルもわたしを見つめています。一瞬、心が通じあったような気がするのですが、カエルは、いつも、ぴょーんと、すきをついてはね、忍者のように消えてしまうのでした。そんな意のままにならないカエルが好きでした。そんなカエルを主人公に物語を作りたいと思いました。考えているうちに思い出したのは夏のプールの記憶です。

 

 夏休みになると、公園にある公営のプールのオープンが楽しみでした。なぜなら、そこでは自由に水で遊べたからです。水は冷んやりとしていて気持ち良く、水の中では自分の身体の重さを忘れて動くことができました。とびこむこと(当時は可)、もぐること、およぐこと、ぷかぷかうくことが楽しく、水しぶきやプールの底から透けて見える太陽の光がキラキラと綺麗で、生きていることへの賛歌のように私には感じられました。休憩時間に水面を見つめてぼーとしている時間も日射しの温かさを感じるほっとするひとときでした。

 

春に目覚めたカエルも、プールを待ち焦がれていた当時の私のように、水にとびこむことを切望しているのではないか。とびこむこと、もぐること、はねること、およぐこと、うかぶこと、うたうことは、カエルだけでなく人間にとっても生きる喜びになりえます。

その喜びがこの絵本を手にする子どもたちに伝わりますように!

(「絵本のたのしみ4月号」 作者のことばに掲載)

 

こぼれ話1

舞台のモデルになった場所はイギリスの南西部の海辺にあるシドマスという街。10年ほど前に縁あって訪れ、美しく明るく爽やかでのんびりとした風景に心奪われました。描くのなら日本にこだわらず好きな街でいいのでは?という編集者さんの声に背中を押され描きました。2019年にイギリスへ旅するチャンスがあり再び取材。その時は海岸沿いにちょっと足をのばし南の方へも。その時に化石がたくさん落ちている海岸を見つけました。それがかの宮沢賢治が北上川を「イギリスあたりの白亜の海岸を歩いているような気がする」といって「イギリス海岸」と名づけた本家本元のイギリス海岸だと知ったのは帰国後のことです。好きな街を描くというのは思っていた以上に幸せなことに繋がっていました。

 

こぼれ話2 

7匹のカエルには実は実在する人間のモデルがいます。コロナ禍においてポジティブでひょうきんで純粋な彼らにはずいぶん励まされました。青いカエルは黄色の色素を持っていない突然変異体です。この青いカエルは大きなことをするわけではありませんが、いつも列の最後にいて問いかけます。「いけについたら なにをする?」と。

『おやゆびひめ』5ページの原画展 てんしん書房さんにて

2021 / 01 / 27  21:04
『おやゆびひめ』 5ページの原画展 てんしん書房さんにて

 

 幼稚園から高校生まで小学館の月刊誌を定期購読していました。駅前に母の馴染みの本屋さんがあって、毎月配達してくれたのです。発売日になると、ベランダから身をのりだして本屋さんが乗っていたスーパーカブの音がしないか耳を澄ませていました。

楽しみにしていたのは「ふろく」と「おはなし」のページ。「おはなし」のページについて、今でも覚えているのがアンデルセンの『人魚姫』。最後に泡となって消えてしまう悲しい絵は今でも頭の中にうっすらと浮かびます。もちろん、ダイジェスト版でした。でも、少し大きくなって図書館でアンデルセンの全集を借りました。それからずっとアンデルセンのお話は常に私の心にあります。

 不思議な縁でこの度2021年『めばえ』3月号(1月29日ごろ発売/小学館)で、アンデルセンの『おやゆびひめ』(再話 早野美智代)の挿絵を描かせて頂くことになりました。私にとってこれは永遠の憧れのようなお話です。今でもお花をのぞく度に「小さな人が居るのではないかしら」と思ったりします。そして、、、あのてんしん書房さんが原画を展示してくださることになりました。(東京 小石川)どうやらてんしん書房の中藤智幹さんもアンデルセンに特別な思いがあるようです。会期は1月29日(金)から2月14日(日)まで。ちらしはこちらまで。てんしん書房さんのサイトはこちらですこのお話がアンデルセンの物語を楽しむきっかけになればこの上ない喜びです。

 

2021年がどうか良い年でありますように。

2021 / 01 / 01  09:10
あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

 

みなさんにご報告です。昨年はコロナ禍ではありましたが、11月に身体の不調を治すために入院し手術を受けました。今は順調に回復し、心新たに仕事を再開しています。私を支えてくれた家族、友人、絵本や児童書を通じて知り合った同志のみなさんに心から感謝致します。あちらこちらから発信されるみなさんの絵本の感想からも大いに励まされました。ありがとうございました。

 

今年はカエルの兄弟の絵本、うさぎの絵本、お花屋さんになりたい女の子の物語の挿絵、ハリネズミ君の物語の挿絵とさまざまな新しい物語に挑戦する予定です。そして、『くるみのなかには』『プリンちゃんのハロウィン』の原画展が10月11月に富山県の射水市大島絵本館で開催される予定です。その他にも、いくつかの絵本児童書専門店で『あなふさぎのジグモンタ』の原画展が予定されています。

 

今まで経験したことのない試練に世界が萎縮していますが、こんな時こそ物語に親しみ試練に耐えるヒントを頂きましょう。明日も朝になれば太陽は昇り、夜には月や星々が私達を励ましていると信じて。2021年がどうか良い年でありますように。

kodomoe10月号プリンちゃんのハロウィン

2020 / 10 / 05  16:36
kodomoe10月号プリンちゃんのハロウィン

 プリンちゃんのハロウィンが好評発売中です!絵本ナビさんにもご紹介されました。こちらです。kodomoe10月号でもプリンちゃんのハロウィンの1ページをキュートに掲載して頂きました。昨年は大田区のティールグリーンさんでプリンちゃんのハロウィンイベントを開催。子供たちや変装好きの面白い大人たちがたくさん集まって楽しかったなあ。今年はコロナのためハロウィンイベントが何もできなくてとても残念です。でも、いつかまたきっと!

ところで、ご存知ですか?理論社のH.Pの中のプリンちゃんの部屋できせかえプリンちゃんのハロウィンがダウンロードできます。絵本を楽しんだ後はチョキチョキペタペタできせかえ遊びを楽しんでください。おうちでハロウィンを楽しみましょう!

ふくろうの絵の展覧会2020

2020 / 10 / 04  17:31
ふくろうの絵の展覧会2020

  『母の友』11月号(福音館書店)「「こどもに聞かせる一日一話」小川メイさんの『ふくろのなかのフクロウ』というお話にふくろうとねずみの挿絵を描かせて頂きました。そして只今千葉の児童書専門店ハックルベリーブックスさん10周年記念原画展「ふくろう展2020」にて展示中です。一作家一画で30名以上のハックルベリーブックスゆかりの作家さんが参加されています。店長の奥山さんは児童文学の研究者でもあるので一人一人の作家さんをとてもよくご存知です。そのお話を聞くだけでもなかなか面白いと思います。お近くの方はぜひ。オンラインでの祝賀会もあと一回となりました。気楽に自由参加なので参加希望の方はお店に申し込んでくださいね。ハックルベリーブックス

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